2008.2.24 世界遺産 古都奈良の文化財探索はまだまだ続きます。
「春日大社」を後にした僕は、結構疲れてきた足を引きずりながらも次の目的地、「元興寺」(がんごうじ)を目指して歩き始めました。
世界遺産「古都奈良の文化財」とは
世界遺産登録理由
奈良市内に点在する寺社等の総称で、東大寺、興福寺、春日大社、元興寺、薬師寺、唐招提寺、平城宮跡、春日山原始林からなる。日本建築と日本美術の進化のひときわ優れた証拠性を有し、それらは中国と朝鮮との文化的つながりの結果であり、後世の発展に重要な影響を与えることになったことなどをはじめ、世界的に見ても高い文化的価値を有するとして、1998年に世界文化遺産に登録されました。
一の鳥居から近鉄奈良駅方面へ歩いていくと最初に行った「興福寺」が右手に見えてきました。
左手にちょっと坂道をくだると「猿沢の池」があります。
池を右に見てそのまま左へまっすぐ歩いて2~3分で右手に目的地「元興寺」に到着です。
えっココですか?というほどひっそりと世界遺産「元興寺」はその姿を現しました。
さもすれば気がつかずに行き過ぎてしまうのではないかというほどのお寺です。
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元興寺について
ウィキペディア(Wikipedia)より
元興寺(がんごうじ)は、奈良市にある、南都七大寺の1つに数えられる寺院。蘇我馬子が飛鳥に建立した、日本最古の本格的仏教寺院である法興寺がその前身である。法興寺は平城京遷都に伴って飛鳥から新都へ移転し、元興寺となった(ただし、飛鳥の法興寺も元の場所に残り、今日の飛鳥寺となっている)。奈良時代には近隣の東大寺、興福寺と並ぶ大寺院であったが、中世以降次第に衰退して、現在は元興寺と名乗る寺院は次の2つに分かれている。
(1) 奈良市中院町所在の元興寺。1977年までは「元興寺極楽坊」と称していた。西大寺の末寺で、宗派は真言律宗に属する。本尊は智光曼荼羅である。
(2) 奈良市芝新屋町所在の元興寺。東大寺の末寺で、宗派は華厳宗に属する。本尊は十一面観音である。
奈良市中院町の元興寺は「古都奈良の文化財」の一部として、世界遺産にも登録されている。上記2つの元興寺は、もともと同じ寺院の一部であるので、本項ではまとめて述べることとする。
また、かつての元興寺を起源とする寺院は他に奈良市西新屋町に所在する真言律宗の小塔院がある。ここは現在は奈良市中院町所在の元興寺内の収蔵庫内に現存する国宝の五重小塔を安置する堂が存在した場所として1965年に国指定の史跡・「元興寺小塔院跡」に指定されている。現在は江戸時代に建立された虚空蔵堂があるだけである。
歴史
現在、「史跡元興寺」として指定されている地域は(1)奈良市中院町の「元興寺極楽坊」、(2)同市芝新屋町の「元興寺(塔跡)」(3)同市西新屋町の「元興寺小塔院跡」の3か所である。これらはいずれも、蘇我馬子が6世紀末、飛鳥に建立した日本最古の本格的寺院、法興寺(現在の飛鳥寺)の後身である。
和銅3年(710年)の平城京遷都に伴って、飛鳥にあった薬師寺、厩坂寺(のちの興福寺)、大官大寺(のちの大安寺)などは新都へ移転した。法興寺は養老2年(718年)平城京へ移転したが、飛鳥の法興寺も廃止はされずに元の場所に残った。通常、飛鳥にある寺を「法興寺」、平城京の方の寺を「元興寺」と称している。「法興」も「元興」も、日本で最初に仏法が興隆した寺院であるとの意である。
奈良時代の元興寺は三論宗と法相宗の道場として栄え、東大寺や興福寺と並ぶ大伽藍を誇っていた。寺域は南北4町(約440メートル)、東西2町(約220メートル)と南北に細長く、興福寺の南にある猿沢池の南方、今日「奈良町(ならまち)」と通称される地区の大部分が元は元興寺の境内であった。猿沢池南東側にある交番のあたりが旧境内の北東端、奈良市音声館(奈良市鳴川町)のあたりが旧境内の南西端にあたる。
奈良においては東大寺、興福寺が勢力を増す一方で、元興寺は平安時代後半あたりから徐々に衰退していった。11世紀前半の「堂舎損色検録帳」という史料によると、金堂をはじめとする元興寺の伽藍は、この頃には荒れ果てて見る影もなかったという。この頃、元興寺の別当が修理のために、玄象(絃上)と並ぶ名物とされた寺宝の琵琶「元興寺」を後朱雀天皇に売却したという話が「江談抄」「古今著聞集」に見え、寺宝の琵琶を手放さなければならなかった元興寺の窮状を伝えている
元興寺には奈良時代の学僧・智光が描かせた阿弥陀浄土図(智光曼荼羅)があったが、平安末期の末法思想の流行や阿弥陀信仰の隆盛とともにこの曼荼羅が信仰を集めるようになった。曼荼羅を祀る堂は「極楽坊」と呼ばれて、次第に元興寺本体とは別の寺院として発展するようになった。これが現在、奈良市中院町にある元興寺、通称元興寺極楽坊である。現存する元興寺極楽坊の本堂と禅室は、奈良時代に智光をはじめとする僧たちが住んでいた僧房を鎌倉時代に改築したものである。
室町時代の宝徳3年(1451年)、土一揆のあおりで元興寺は炎上し、五重塔などはかろうじて残ったが、金堂など主要堂宇や智光曼荼羅の原本は焼けてしまった。この頃を境に、寺は智光曼荼羅を祀る「極楽院」、五重塔を中心とする「元興寺観音堂」、それに「小塔院」の3つの寺院に分裂した。極楽院は奈良西大寺の末寺となって真言律宗寺院となり、中世以降は智光曼荼羅、弘法大師、聖徳太子などの民間信仰の寺院として栄えた。
一方、極楽院の南にある「元興寺観音堂」の方は東大寺の末寺となり、五重塔を中心とする寺院であったが、室町時代の火災に焼け残った創建遺構の五重塔と観音堂は、江戸時代末期の安政6年(1859年)についに焼失し、以後は「元興寺」の寺号は継ぐものの衰退している。
極楽院は明治以降は荒れ果て、現在国宝に指定されている本堂も1950年ころまでは床は落ち、屋根は破れて「化け物が出る」と言われたほどの荒れ方であった。第二次世界大戦中の1943年に極楽院の住職となった辻村泰圓は戦災孤児のための社会福祉事業に尽力するかたわら、境内の整備や建物の修理を進めた。1962年には辻村により境内に財団法人元興寺仏教民俗資料研究所が設立され(1978年に元興寺文化財研究所と改称)、1965年には寺宝を収蔵展示する収蔵庫が完成するなど、徐々に整備が進んだ。元興寺仏教民俗資料研究所は、本堂解体修理中に屋根裏から発見された数万点の庶民信仰資料(板塔婆など)を研究することを当初の目的として設立された。極楽院は1955年に「元興寺極楽坊」と改称、さらに1977年に「元興寺」と改称されている。2010年8月禅室の一部に使用されている木材が世界最古のものであることが確認された。
ここで僕の大好きな国宝のご紹介
元興寺(奈良市中院町)
国宝
建造物
*極楽坊本堂
*禅室
*五重小塔
五重小塔は5.5m程の小塔なのですが、建造物として国宝に指定されています。
元興寺(奈良市芝新屋町)
* 薬師如来立像
奈良国立博物館に寄託
以上
国宝「元興寺極楽坊本堂」
国宝「元興寺極楽坊本堂」(がんごうじごくらくぼうほんどう)
寛元2(1244)
桁行六間、梁間六間、一重、寄棟造、妻入、正面一間通り庇付、本瓦葺、
閼伽棚を含む
極楽坊本堂または極楽堂ともいう。寄棟造、瓦葺で、東を正面として建っています(東を正面とするのは阿弥陀堂建築の特色)。この建物は寄棟造の妻側(屋根の形が台形でなく三角形に見える側)を正面とする点、正面柱間を偶数の6間とし、中央に柱が来ている点が珍しい(仏教の堂塔は正面柱間を3間、5間などの奇数とし、正面中央に柱が来ないようにするのが普通)。内部は板敷きの内陣の周囲を畳敷きの外陣がぐるりと囲んでおり、内陣の周囲を念仏を唱えながら歩き回る「行道」に適した構造になっているそうです。
国宝「元興寺禅室」
国宝「元興寺禅室」(がんごうじぜんしつ)
鎌倉前期
桁行四間、梁間四間、一重、切妻造、本瓦葺
切妻造、瓦葺。本堂の西に軒を接して建っています。元は現・本堂も含んで東西に長いひと続きの僧房であったものを鎌倉時代に改築したものだそうです。正面の4箇所に板扉があることからわかるように、現存部分は4区画分で、1区画には5~8人の僧が生活していたということです。本堂と同様、部材や屋根瓦の一部には奈良時代のものが残っているそうです。
国宝「元興寺五重小塔」
国宝「元興寺五重小塔」(がんごうじごじゅうのしょうとう)
奈良時代
三間五重塔婆、本瓦形板葺
収蔵庫に安置されています。高さ5.5メートルほどの小塔ですが、「工芸品」ではなく「建造物」として国宝に指定されています。屋内にあったため傷みが少なく、奈良時代の建築を知るうえで貴重な資料であるそうです。内部構造まで省略せずに造られているそうです。
こじんまりした境内に極楽坊本堂と禅室が並んで建っています。
本堂に向かって左側の建物の中に五重小塔が建っています。
五重小塔は模型かな?と思うようなものなのですが、中身まで詳細に作られているそうです。
撮影禁止なので写真はありません。残念...。
写真は列島宝物館さんからお借りしました。
ぜひ見に行ってください。一見の価値はあります!
芝新屋町の元興寺にも行きました。歩いてすぐです。
ここには五重塔跡と小さなお堂があるだけのひっそりとした所でした。
奈良時代から残る創建遺構で一辺9,65m総高72,7mの東寺五重塔より大きい超大型塔があったが、1859年(安政6)焼失。見てみたかった、、、。
元興寺を後にした僕は、とにかく疲れていました。
とりあえず何か食べようと、再び近鉄奈良駅へ向かうのでした。
「元興寺」公式ホームページへ
拝観料 大人400円、中・高校生300円、小学生100円(10月下旬~11月初旬の特別展の期間は別料金)
駐車場 近隣に民間駐車場あります
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2008.2.24 奈良県の国宝建造物と彫刻探索の旅
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